NO!パワハラシリーズⅡ:社会保険労務士 安達発

先週の投稿読んでいただけましたか?社会保険労務士の安達敬子です。 

本日は、前回に引き続きパワーハラスメントに焦点をあて、Q2について判例もご紹介しながらお伝えしていきます。

今回もぜひ、一緒に考えてみてください。


【Q2】 NO!パワハラシリーズⅡ

シリーズⅠでは、注意や指導がすべてパワハラになるわけではなく、次の3つの要素を全て含んでいるものを職場のパワハラの概念としているということでしたが、

①優越的な関係に基づいて(優位性を背景に)行われること
②業務の適正な範囲を超えて行われること
③身体的若しくは精神的な苦痛を与えること、または就業環境を害すること 

の中の② 業務の適正な範囲を超えての部分を教えてください。

【A2】

上司は自らの職位・職能に応じて権限を発揮し、業務上の指揮監督や教育指導を行い、上司としての役割を遂行することが求められます。

そのような上司の適正な指導を妨げるものではなく、各職場で、何が業務の適正な範囲で、何がそうでないのか、その範囲を明確にする取組を行うことによって、適正な指導をサポートするものでなければなりません。

パワーハラスメントであったかどうか判断をするには、行為が行われた状況等詳細な事実関係を把握し、各職場での共通認識や裁判例も参考にしながら判断してみましょう。

 

【 海上自衛隊さわぎり事件 】 福岡高裁:平成20年8月25日判決  

21歳の海上自衛隊員が、上司から「お前は三曹だろ。三曹らしい仕事をしろよ」「お前は覚えが悪いな」「バカかお前は!三曹失格だ」

などの継続的な誹謗中傷によりうつ病にり患し、自殺したとして、同隊員の両親が国に対し慰謝料の支払い等を求めた事件です。

閉鎖的な艦内で直属の上司から継続的に上記のような侮辱的な言動がされることは,

自殺した三等海曹の心理的負荷を過度に蓄積させるものであり,指導の域を超えるものであると判断されました。

この侮辱的な言動によって,三等海曹は,うつ病を発症し,自殺したと認定されて,慰謝料合計350万円の請求が認容されました。

他方で,もう一人の上官の「ゲジ2」「百年の孤独要員」「お前はとろくて仕事ができない!自分の顔に泥を塗るな」という言動については,

自殺した三等海曹との関係が良好であったことから,軽口として許容できるものであるとして,違法な言動とは認定されませんでした。

 

発言内容そのものだけで判断するのではなく、当事者間の人間関係を重く評価しての結果だといえるでしょう。

職場においては、普段からの人間関係と、指導そのものの在り方、また指導後のフォローの体制を整えていく必要があります。

海上自衛隊は,航海中,閉鎖された艦内で仕事と日常生活をしていくので,人間関係が一度こじれると,逃げ場がなく,非常につらい状況に追い込まれてしまうことが予想されます。

閉鎖された組織ではパワハラやいじめが生じる温床となりやすいともいえるでしょう。


次回は、③ 身体的若しくは精神的な苦痛を与えること、または就業環境を害することの部分をひもといてみましょう。

2019-03-29T14:41:29+00:002月 19th, 2019|Blog|